いくつもの困難を乗り越え、ブランディングプロデューサーに転身した女性の物語
みささんは今、ブランディングのお仕事をされていますが、もともとはアロマセラピストだったそうですね。
そうなんです。香りが潜在意識に働きかけるという話をはじめて聞いたときにすごく衝撃を受けて…。嗅覚は思考よりも速く、大脳辺縁系という感情や記憶を司る脳の部分に直接届くので、アロマは感情を切り替えたり癒すためのツールとして使われるんですよね。ずっと感情を抑えて生きてきた私にとって、「感情と健康はこんなにもつながっているんだ」と知ったことは、雷に打たれたような体験でした。
ちょうどその頃、離婚を考えていたこともあり「これは今の私に絶対必要だ」と思い、そこから夢中でアロマを学んでいきました。その後、インストラクターの資格を取って自宅でサロンを開業したのですが、3年目を迎えた頃にコロナ禍が来てしまって…。離婚して、お金もかけて準備してきたのにどうしてこんなことに…と、どん底に落ちました。
そこからどうやって、今のブランディングの仕事にたどり着いたんですか?
「これから何ができるんだろう」と考えたときに、ふと思い出したのが20代の頃、百貨店のハイブランドで働いていた経験でした。よくよく振り返ってみると、自分が本当に得意なのは、その人がまだ気づいていない魅力や価値を見抜いて、それを伝えることだったんですよね。
その経験と、アロマを通して学んできた「心を整えること」が私の中でひとつにつながり、「その人らしさを引き出し、仕事として表現する」今のブランディングの仕事へとつながっていきました。
ハイブランドのお店では、どんな風にお仕事をされていたんですか?
最初は、自分のお給料より高い一着の服にドキドキして、触ることすらできませんでした。でも、だんだん仕事が楽しくなり、気づけば百貨店全体で上位に入るくらいの売上を上げていて、30分で100万円売れたこともあります。
私は、お客様が洋服選びで悩んでいるときに、お客様の意見に合わせてお世辞を言うのではなく「その方に本当に似合うもの」を見抜いてコーディネートするのが得意で、お客様の期待を超える提案をしたときの笑顔を見るのが好きだったんですよね。
その人の魅力を最大限に引き出す服が直感でわかるのですね。その経験は、今のお仕事とどう繋がっていますか?
今は、その人らしい価値や魅力を見つけて、それを言葉やビジュアルという「見える形」にする仕事をしています。アパレル時代は無意識にやっていたことでしたが、それこそが私の一番の強みだったんだと、最近ようやく言語化できるようになりました。
みささんの考えるハートブランディングとはどのようなものですか。
私が大切にしている「ハートブランディング」とは、その人が何を大切にし、どんな想いを社会に届けたいのかという"軸"を見つけることです。ブランディングというと、表面的な見せ方やデザインを整えることだと思われがちですが、本当に大切なのは、中身と外身を一致させることです。だからこそ「自分自身をどう捉えているか」という内面を整えることが、とても大切だと思っています。私は、「人の魅力は、すでにその人の中にある」と思っています。
新しい自分を作るのではなく、自分でも気づいていない価値や魅力を見つけ、それをその人らしく自然に伝わる形に整え、社会へ届けていく。そのお手伝いをするのが、私の考えるハートブランディングです。
具体的にはどのように進めていくのですか。
私は、頭で考えて答えを出すよりも、「見える形」にすることで、自分らしさに気づける方が多いと感じています。なので、言葉だけでなく、色や写真、イメージなども使いながら、その方の感性や想いを一緒に整理しています。抽象的な言葉の中にはたくさんの意味があると思うのですが、それをビジュアライズするとわかりやすくなるんですね。とくにセラピストさんなどは感覚派の方が多いので、そういった方たちの魅力や世界観をビジュアルと対話を通して引き出していきます。
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今のお仕事を始める前は、ずっと自分を出せない時期があったそうですね。
子どもの頃の経験や、家で「女の子はこうあるべき」という価値観の中で育ったこともあり、「目立つことや自己表現はしない方がいい」という思い込みが、心の中にずっとあったんです。
でも、三十年以上も真面目にまわりに合わせて生きてきたのに、がんやうつを経験したり、離婚をしたり…。自分を出さずに抑えてきたことが、結果的に人生を良い方向には運んでこなかったんですよね。ずっと他人軸で生きてきたから苦しかったんだということに気づいて、これからはもっと自分を大切に生きようと決めました。
振り返ってみると、人生がうまくいっていた瞬間はいつも、自分の感覚を信じて表現していたときだったんです。だから今は、その人らしさを大切にすることが、仕事にも人生にもつながると感じています。
他人軸の人生から自分軸で生きる人生に変わったのですね。その経験から、どんなことを伝えていきたいですか?
ハートブランディングを通して、その人らしく生きることの大切さを伝えていきたいと思っています。私は、本当の健康とは、心や身体だけでなく、自分らしく生き、自分らしく表現できることも含まれると考えています。
だから、かつての私のように頑張りすぎたり、まわりに合わせて生きてきた女性たちに、「本当の自分を隠さなくていいんだよ」というメッセージを届けたい。そして、その人らしい人生や働き方を応援していくことも、私の使命だと感じています。